こんにちは、Make WakのWak (@wak198)です。
今年初めての3 D プリンターを購入して、それから半年、毎日使って楽しんでいます。
購入してみれば多少のトラブルはあるものの、とても楽しく使えているのですが、最初の機種を選んで購入するまでは僕もドキドキの連続でした。
ネットで調べてみても「3Dプリンターおすすめ20選」というようなまとめサイトばかり、、、
「20選て。ホンマにちゃんと調べたんかいな…」
はじめての僕には何を選んだらいいのかさっぱり分かりませんでした。
そこで今回は、初めて3 D プリンターを買う人に向けて、その選び方や選ぶべきポイントを整理しながら、 実際にこれならお勧めできると思える機種のみに絞って比較と説明をしていきたいと思います。
僕が実際に購入する時に考えたポイントや、使ってみての経験を経て本当に大事だと思うポイントにのみ絞ってお伝えするので、参考にしてもらえたら嬉しいです。
この記事を読んでもらえれば、3 D プリンターを「安く」「失敗なく」購入することができるようになるはずです。
それではいってみましょう。
3Dプリンターとは
まずはおさらいから。
3Dプリンターとは、3Dデータをもとに、立体物を造形してくれる機械のことを言います。
2012年頃から一大ブームが巻き起こりました。
この本を読んだことがある人も多いのではないでしょうか。
しかし当時は
・3D プリンター:30~100万円(!)という相場感
・CADソフト:無料 → 貧弱すぎて使えない or 50万円~100万円/年 という極端な選択肢
という状況した。
結果、「3Dプリンターは高くて買えない」「買ってもたいしたものを作れないオモチャ」という状況がしばらく続きました。
ですが、ここ2,3年で 3Dプリンターの業界には革命とも言える変化が起こっているのです。 それは低価格化の波がきているということです。
現在はなんと、
・3Dプリンター:10万円以下は当たり前。2万円台も珍しくない。
・CADソフト:超本格派3D CADのFusion 360が実質無料で使える
という状況に変わってきているのです!
きちんと選べば総額3万円で3D プリンターライフを始めることも可能な時代なのです。
3Dプリントまでの流れ
3Dプリンターでプリント出力するまでのおおまかな流れは以下の3ステップです。
- 3Dモデルデータを用意
- 3Dモデルデータをスライス処理
- 3Dプリンターでプリント出力
このうち1.と2.は無料のソフトを使うことができます。
3DモデルデータはFusion 360やBlenderというソフトを用いて設計し、
スライス処理は3Dプリンタに付属してくるソフトを使ったり、CURA というソフトを使います。
要するにお金がかかる部分というのは、3D プリンター本体だけということです
(正確には消耗品とか備品とかがあるけれど)
設計ソフトも無料、スライスソフトも無料で非常に優秀なものが出揃っていて、3Dプリンターは10万円を余裕で切っています。
3 D プリンターを始めるにあたって、今は非常に良い追い風が吹いていると言えるのです。
STEP1: 造形方式から選ぶ
それでは実際に3Dプリンターの選定に入っていきましょう。 まず「造形方式」を選ぶ必要があります。 現在、一般的かつ安価に手に入る3 D プリンターとしては以下の2つがあります
- 熱溶解積層方式(FDM : Fused Deposition Modeling)
- 光造形方式
他にもいろいろありますが、現実的に手に入る3 D プリンターといえば、この2方式と考えて間違いないでしょう。
二つの造形方式の違い
1の熱溶解積層方式では、樹脂を熱で溶かしてそれをノズルから押し出して積み上げていくことでモデルをプリントします。
2つ目の光造形方式では、液体の薬液に光を当てることでその部分だけ樹脂を固めます。 固めた樹脂を、やはり積み上げていくことでモデルをプリントしていきます。
下の一覧表で違いを比較してみましょう。
熱溶解積層方式 | 光造形方式 | |
薬液 | ○ 使わない | × 使う(ニオイと掃除) |
精度 | △ 段差ができる | ○ 非常に高精度 |
カラー | ○ 様々な色の樹脂が使える | × 基本的にグレーの樹脂のみ |
価格 | ○ 低価格化が進んでいる | ○ 低価格化が進んでいる |
二つの造形方式の決定的な違いは「薬液を使うかどうか」です。
光造形方式は薬液を使うので、ニオイや汚れをケアする必要が出てきます。
またプリントが終わった後にもアルコール洗浄などのケアが必要になります。
これに対して一つ目の熱溶解積層方式はシンプルなので、気軽に普段使いできるメリットがあります。
ただし二つ目の光造形方式では細かいものの出力が非常に高精度に出力できるというメリットもあるので、現時点で明確にフィギュアやアクセサリーなどの小物を作りたいと言う目的があれば、光造形方式を選ぶことをお勧めします。
オススメは熱溶解積層方式
現時点で明確な希望がない場合は、取り扱いやすい熱溶解積層方式をお勧めします。
以降の記事では、初心者の方へ向け、熱溶解積層方式の3 D プリンターにフォーカスを当てて説明していきます。
STEP2:おすすめ厳選3機種の比較
ここでは実際に僕が3 D プリンターを選定・購入・使用してみた経験を踏まえて、もし自分がもう一度初心者に戻って3 D プリンターを購入するとしたら何を選ぶか考えてみました。
結果、過去の自分にも、また皆さんにもお勧めできる機種として以下の3機種をご紹介します。
- Creality3D社 「Ender 3」
- Anycubic社 「i3 Mega S」
- Flashforge社 「Adventurer3」
まずはこの3機種さえ押さえてしまえば、ほぼ間違いないんじゃないかなと思います。
比較
これらの候補3機種について、一覧表で比較をしていきましょう。
Ender 3 | i3 Mega S | Adventurer3 | |
価格 | ◎ 2.5万円 | ○ 2.5~4万円 | △ 6.3万円 |
組立 | △ かなり要 | ○ 要 | ◎ 不要 |
プリントサイズ | ○ 220mm 220mm 250mm | ○ 210mm 210mm 205mm | △ 150mm 150mm 150mm |
精度 | ○ 調整による | ○ 調整による | ○ 調整による |
その他 | とにかく 安価 | バランス◎ | 完成度高し wi-fi対応 |
他にもスペックとしてはたくさんあるのですが、あまり多すぎても頭がパンクしてしまうので最低限に絞って比較しました。
要するに、右に行くほど高級機種で、自分で組み立てをしなくても使えるという並びになっています。
見るべきポイント
今回ポイントとして考慮したのは以下のようなものになります。
①価格
まずは価格です。 やっぱり10万円を超えるようなものは簡単には購入に踏み切ることができません。
逆に3万円を切ってくれば、 ゲーム機を買う感覚で買うことができます。
当然価格が高ければ、それだけ機能が充実していたり、自分で組み立てをする必要がなかったりするなどのメリットがあります。
価格が低いものは、精度が悪かったり当たり外れがあったりするもののイマイチな商品もありますが、 ここで紹介しているものはすべて世界的にもメジャーな実績のあるモノたちばかりです。
組み立てなどの手間は多少かかるかもしれませんが、安かろう悪かろうという品物は紹介していません。
②人気度
スペック表やレビューなどに現れて来ませんが、 実ははかなり大事なポイントのひとつです。
人気があってたくさんの人に使われている3Dプリンターほどインターネット上に情報が溢れています。
3Dプリンターを使っていると、どうしてもわからないところや、トラブルが出てきます。
そうしたときにインターネットでぱぱっと情報集められるかそうでないかと言うのは解決までの時間がまるで変わってきます。
マイナーな機種を使っていると、自分で解決できない課題にぶち当たることがあるので初心者の方にはお勧めできません。
今回ここでご紹介している3機種に関しては、いずれも世界的にも日本の中でも、既に実績のある機種ばかりなので問題ありません。
③その他スペック
スペック関係の優先度は実はそれほど高くありません。
なぜなら、3 D プリンターではすでに競争が激しくなっており、どの機種も似たような性能に落ち着いてきているからです。
その中でも簡単に確認しておいた方がいい項目は以下の3つです。
プリントサイズ
プリントサイズは実際に出力できるものの大きさのことです。
自分が何を作りたいかおおよそのイメージがある場合はそれに照らし合わせると良いでしょう。
10cmを下回ってくると、 かなり小さい印象です。
逆に40cm を上回ってくると、かなり大きい印象です。
大きければ大きいほど良いわけではなく、 適切なサイズのものを選ぶ必要があります。
大きすぎるとプリントの精度が出ない、 置き場所に困る、などの問題が出ることがあります。
20cm 前後のプリントサイズがあればかなりの用途に対応できるでしょう。
対応材料
対応する材料も見ておくと良いでしょう。 と言っても、 PLAとABS という一般的な2大材料が使用可能であれば十分だと思います。
この二つが使えれば、他の材料は基本的に使うことができるでしょう
(自己責任になることが多いですが)
また、TPU と呼ばれるゴム材料のような 特殊な材料を使いたくなったら、その時にはすでに初心者を卒業していると思いますので、 改めて3 D プリンターを比較検討されることをお勧めします。
精度
プリントしたものの寸法がどれぐらい正確に出るかという精度ですが、実はあんまり一生懸命見てもしょうがないかなと思っています。
なぜかと言うと、スペック表に記載されている精度というのが、 モーターの精度であって実際のプリントしたものの精度でなかったりすることがあるのと、3 D プリンター本体というよりも、 スライサーソフトの設定の問題だったりするからです。
ここで紹介した3機種については、いずれも精度に関しては問題ないものばかりです。 おおよそプラマイ0.2 mm 程度と思ってもらえれば間違いないと思います。
個別レビュー:Ender 3
Ender 3はとにかく安く購入したい人におすすめの機種です。 Amazon で2.5万円で買えるというのは驚異的ですね。
ただし組み立ての手間は他の2機種に比べると多めになります。 またトラブルに関しても比較的多めの印象です。
世界的に最も普及している3 D プリンターと言っても過言ではなく、かなりの量の情報がインターネットから入手できるので、多少の課題があっても自分で解決できそうだという人にオススメです。
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個別レビュー:Anycubic i3 Mega S
個人的に最もオススメの機種です。
実際に購入してみてずっと使用しています。
多少の組み立てはありますがほとんど完成品の状態で送られてきます。
安価に購入することができますが、 トラブルも少なく作りもしっかりしていて信頼できる機種だと思います。
特に大きなデメリットのない優秀な機種です。
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個別レビュー:Adventurer3
紹介している中では唯一完成済みの状態で送られてきます。
最も値段は高いですが、 完成度も高い機種になります。
調整などの手間も少なく、 YouTube やブログ、Twitter などでよく好意的なレビューを見かけます。
wi-fi にも対応しており密閉型の筐体になっているので騒音も少ないため、デスクトップに置きやすく、すっきりとした運用が可能です。
難点としてはフィラメントホルダーまで内蔵されているため純正のフィラメントスプールしかハマらないということと、プリントサイズが若干小さいということが挙げられます。
とはいえ普段機械いじりをしないような完全初心者にとっては一番オススメできる機種であることに間違いはありません。
公式サイトはコチラ。
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注意点
高機能なものが安価で購入できるようになってきた3 D プリンターですが、いくつか注意点もあります。
設置場所(騒音)について
Ender 3とi3 Mega Sは印刷部分が筐体で覆われていない「開放型」の3Dプリンターですので、騒音は間違いなく発生します。
特にノズルを動かすためのモーターのキュルキュル言う音と、部品を冷却して固めるためのファンの音が大きいです。
設置場所に関してはよく考えてから設置することをオススメします。
ベッドの隣に置くというような運用は難しいと考えたほうが無難です。
取り扱いに関して
3Dプリンターは、家電ではありません。
どちらかと言うと、工作機械に近いです。
どういうことかと言うと、「アフターサポート」や「安全性に対する配慮」が完璧ではないと言うことです。
特に5万円を切るような低価格帯の3Dプリンターだと、何かしらの不調に見舞われて自分でそれを修理した、メーカーに問い合わせをしたけれど部品を送ってくるだけで後は自分で、と言うようなこともよくあります。
なんならレスポンスなし、ということも普通にありえます。
少なくとも、最初の簡単な組み立てや、初期調整、日々のメンテナンスに関しては完全に自己責任です。
10年前に比べて、はるかに購入しやすく、扱いやすく、失敗しにくくなっているものの、この点については注意が必要です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、3 D プリンター経験者の視点から、本当に初心者にオススメできる3機種のみを厳選して比較検討してみました。
繰り返しになりますが、 3 d プリンター業界には今低価格化の波が押し寄せています。 一度価格で購入を諦めた人でも手の届く範囲に3 D プリンターがやってくるような時代になりました。
実際に使い始めてみるといくつかトラブルに遭遇することもあるかもしれませんが、 それ以上に自分で設計モデリングしたものを現実世界にプリント出力できる喜びというのはとても楽しいものです。
ぜひこの機会に3 D プリンターを購入してみて、一緒にメーカーの世界に飛び込んでみませんか?
今回ご紹介した3機種だったらきっとあなたの期待を裏切るようなことはないでしょう。
それくらい胸を張ってお勧めできる機種のみをご紹介しました。
皆様といつか交流できる日を楽しみにしつつ。
それでは良いモデリングライフを!
Wak
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