こんにちは、Make WakのWak (@wak198)です。
以前に安価な3Dプリンター「Anycubic Mega-S」についてレビューし、今も使っているのですが、今回は「3DプリンターKingroon KP3S」の紹介・解説記事です。
2万円を切るトップクラスに安価な3Dプリンターながら、精度が高く、初心者でも扱いやすい1台として、ネット上でも評判になっている機種です。
個人的にも前から気になっていたので、いい機会としてきちんと調べてみました。
「3Dプリンターって興味はあるけど、英語の情報ばかりでよく分からない…」という悩みをお持ちのあなたにもわかりやすいように日本語で解説していきます!
設計歴7年、3Dプリンター歴1年の経験を踏まえてレビューしていきますので、ぜひ参考にしていってください。
それではいってみましょう!
結論:Kingroon KP3Sは「買い」
結論から言うと、今回の調査でKingroon KP3Sは個人的に「買い!」な、3Dプリンターであることが分かりました。
また初心者にオススメの1台として、胸を張ってオススメすることができる機種です。
比較的コンパクトでありながら、しっかりした作りになっており、またスライサーソフトはCURAを推奨するなど、一般的で使いやすい構成になっています。
そして何よりも値段が安い!2万円しないって…。3Dプリンターも本当に1家に1台の時代です。
この価格帯でこれだけの機能を揃えていることに驚きです。
Amazonでの評価も星4.5と非常に好評です。
値段も安く、比較的コンパクトなので、2台めとしてのサブ機としても有望です。実際WakはAnycubic Mega-Sに次ぐサブ機として購入を考えています。
造形サイズの大きいAnycubic Mega-Sを大物専用にして、コンパクトなKingroon KP3Sを精度が必要な小物向けのサブ機とする2台体制が最適かな。
詳しい内容は以降でゆっくり見ていきますが、総評として非常に良い3Dプリンターです。
詳細情報:Kingroon KP3S基本スペック
ここからは、Kingroon KP3Sの細かいスペックについて見ていきましょう。
造形サイズ(ビルドサイズ)
プリント可能な最大サイズは180 x 180 x 180mm。
200mmあれば一般的なので、180mmあれば必要十分でしょう。本体サイズがけっこうコンパクトなので、トレードオフかな、と思います。Kingroon KP3Sは造形サイズを追い求めるよりは、モデルの精度を出す方向でコスパを追い求めたほうが良さそうです
方式
熱溶解積層方式(Fused Deposition Modeling)方式。
フィラメントと呼ばれる樹脂を熱で溶かしてノズルから押し出して積み重ねていく方式。3Dプリンター(特に安価な3Dプリンター)では一般的な方式。
このほかに「光造形方式」も知られる。造形の精度を追い求めるなら、光造形方式の方がいいが、薬品を使う必要があるので明確なこだわりがない場合はおすすめ。
構造
構造:アルミフレーム+リニアガイドレール
構造はアルミフレームとリニアガイドレールの組み合わせです。
3Dプリンターの本体の精度って、プリント物の精度に直結するのでけっこう大事なポイントなんですよね。地味なんですけど。
リニアガイドレールを使っているというのは珍しくて、ステージの動作の精度アップが望めます。またアルミフレームを使っているのも剛性が高そうでいいポイントです。
コンパクトで安価ながらも、こだわるところはちゃんとこだわってる感じが好感持てますね。
ノズル径
ノズル径:0.4mm。
ここは別に後からいくらでも交換できるので一般的な0.4mmノズルがついてれば問題なし。
対応フィラメント
直径: 1.75mm。
種類: PLA / TPU
対応しているフィラメントの太さは一般的な1.75mm。これなら特に意識せずとも、Amazonで買えるフィラメントなら大体対応している。
フィラメントの種類としては、公式にはPLAとTPUのみ記載。ABSがないのが意外だが、ABSは扱いが非常に難しいので、初心者なら切り捨ててしまってもいいかもしれない。
それからPLAとTPUに対応しているなら、PETGも使える可能性は高い(自己責任ですが…)。PETGはPLAと同じ感覚で使えて、耐熱性や耐候性が高いフィラメントなどで積極的に候補に入れていきたい。
エクストルーダー
方式:ダイレクトドライブエクストルーダー
この価格帯の3Dプリンターにしては珍しく、標準でダイレクトドライブエクストルーダーを搭載している。
ダイレクトドライブエクストルーダーとは、フィラメントを送る機械(エクストルーダー)が、ノズルに直結していること。
通常、エクストルーダーはノズルから離れた位置に配置されることが多いので、フィラメントの吐出のレスポンスが悪くなる。
通常のエクストルーダーの方式(ボーデン)でも、PLAで簡単な形をプリントする分には問題になることはない。
が、少しでも複雑な形をプリントしようとしたり、TPUのようなゴムっぽい材質を扱うには不向きのため、後からダイレクト式に改造することもある。
それが最初から搭載されるとなれば面白いメリットとなる。このため、Kingroon KP3Sは標準でTPUを材料表にラインナップしている。
印刷解像度(印刷精度)
印刷解像度: 0.05~0.3mm。
正直ここはスペックではいくらでも良い値が記載されている。モーターの位置決め精度と、実際のプリント物の寸法精度は別物と考えるべき。
実際は実物を見て判断するしかない。が、最近の安価な3Dプリンターでも0.1mm単位での精度は出せる感覚。ネットの口コミでも評判はいいので問題ないと思う。
対応温度
ノズル温度 : ~260 ℃
ベッド温度 : ~110 ℃
ノズル温度もベッド温度もどちらも一般的に必要十分な温度範囲をカバーしている。
PLAなら「ノズル温度200℃、ベッド温度60℃」ていどあれば十分だし、「ノズル温度260℃、ベッド温度110℃」あればABSも行けるような気がするのだが、なぜか公式では非対応…(自己責任で頑張って条件出ししてね、ということだろう)
対応速度
移動速度 : ~ 200mm/s
印刷速度 : ~ 100mm/s(20~60mm/sを推奨)
対応速度も一般的。Wakの現在の設定では「移動速度100mm/s、印刷速度20~50mm/s」なので必要十分といった印象。
ただし、ダイレクトエクストルーダーを採用したりしているので、Kingroon KP3Sはヘッドが重い。このため、あまり高速で印刷することはできない。高速にプリントすることよりも、綺麗にプリントすることを主眼に置いた方が良さそう。
ビルドプレート(ベッド)
ビルドプレート:マグネット方式
ビルドプレート(ベッド)は、マグネットで簡単に脱着出来る、柔らかいタイプのものです。
が、しばらく使っているとボロボロになっているというレビューもあり、これは購入後にガラス板なんかに交換するかも…
操作インターフェース
インターフェース:タッチ液晶画面
画面言語: cn/de/en/ru/jp/fr/it
操作インターフェースがタッチパネルなのは扱いやすくていいですね。表示言語に日本語(jp)があるのは珍しいです。
冷却ファン
冷却ファンは小さなファン2個で構成された、デュアルファンの構成になっており、けっこううるさいらしい。
まぁ値段からすると、この辺りは妥協ポイントになってくるのだろう。
推奨スライサーソフト
推奨スライサーソフト:CURA
CURAは無料で使える高機能なスライサーソフトです。Wakも普段このソフトを使用しているので、そのまま使い回しが効くというのはメリット高いです。ネットにも情報がたくさんありますので、それもポイント高いですね。
その他電源など
入力電圧 : 110v-220v
電源: 24V15A360W
正味重量: 6kg
マシンのサイズ: 280*285*370mm
入力電圧が110Vに対応しているので、日本でも家庭用電源で使用が可能。
注意点
かなり褒めてきたKingroon KP3Sですが、いくつか注意点もあります。Kingroon KP3Sの、というより、安価な3Dプリンター全般に対する注意点です。
取り扱いに関して
3Dプリンターは、家電ではありません。どちらかと言うと、工作機械に近いです。
どういうことかと言うと、「アフターサポート」や「安全性に対する配慮」が完璧ではないと言うことです。
特に5万円を切るような低価格帯の3Dプリンターだと、組み立てから、条件だし、トラブルシュート、メンテに至るまで、すべて自分1人で行うことも多いです。
メーカーに頑張って英語で問い合わせをしたけれど「部品は送ったから後は自分でよろしく」なんてことはよくあります。なんならレスポンスなし、ということも普通にありえます。
10年前に比べてはるかに購入しやすく、扱いやすく、失敗しにくくなっているので過剰な心配は要りませんが、もし2Dのプリンター(印刷機)を買う感覚でいる方は要注意です。
設置場所(騒音)について
この3Dプリンターは、印刷部分が筐体で覆われていない「開放型」の3Dプリンターです。
このため、騒音は間違いなく発生します。
特にノズルを動かすためのモーターのキュルキュル言う音と、部品を冷却して固めるためのファンの音が大きいです。
設置場所に関してはよく考えてから設置することをオススメします。
ベッドの隣に置いて寝るというのは不可能と考えた方がいいでしょう。扉一枚挟んでギリギリ寝れるかな、扉2枚挟めばまず問題なく寝れるかな、という感覚です。
部屋が一つしかない場合は、きっちり筐体で覆うことも考えておきましょう。
おわりに
今回は超安価な3Dプリンター「Kingroon KP3S」について確認してみました。
ついに3Dプリンターも1万円台でここまで高機能なものが買えるものが出てきたか、という感想です。
非常に性能は良さそうなので、是非購入してレビューしてみたいと思っています。
一台3Dプリンターを持っていると、色んなものを自分で作ることができてとても楽しいですよ!
このサイトでも、3Dものづくりに関するさまざまな情報を発信していきますので、皆さんも是非一緒にメイカーへの道を歩んでみましょう!
それでは良いモデリングライフを! Wak
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